土蔵壁補修

最近めっきりみかけなくなってしまった土蔵。

あれだけの土壁を塗れる職人さんって今どれだけいらっしゃるでしょうか・・・

お寺さんや神社さんはまだしばらくは残っていくので全くなくなってしまう事はないとはいえ、一般民家の土蔵は減っていく一方です。

弊社のお客様でも土蔵のお話は修理よりむしろ解体のお話の方が多くちょっと残念です。

そんな中壁の漆喰が剥落してしまい、修理したいという依頼がありました。

こういった土蔵外壁の補修というと漆喰の塗り直し又は板金で囲う・・・

という選択がありますが、現場の状況とお客様の意向しだいといったところでしょうか。

状況としては大雨などで隣接の建物の雨樋を超えてしまった(又は樋が故障していてあふれた)雨水がよく当たる場所がこのようになってしまった様です。

しかし、原因と思われる雨樋は変形等しておらず屋根の大きさからもここまでになる原因とは思われません。おそらく過去に原因となる雨樋の修繕をされたのですが、土蔵の見た目はそれ程悪くなく放置。

その後よく雨水が当たっていた場所が樋修繕後劣化が進んでしまい、この様な状態になったと思われます。

壁の状況としては途中の庇の上はヒビは入っているもののしっかりしていたので今回は庇の下のみの補修で進める事としました。

 

まずは補修面の漆喰を捲ります。

1枚目の写真ではがれていた場所の下、周辺は既に接着が悪く簡単に剝がれてしまい当然その辺りは深くまで傷んでいます。

写真からも下地の残り方で何となく状態の良し悪しがわかるかと思います。

下地の補修です。

えぐれてしまっている場所を補修、補強し1回目の下塗りを実施します。

梅雨入り直前なので少々補強も入れつつ材料を作成し塗ります。

塗り終わった後、数日乾かし、仕上げ塗の日を待ちます。

仕上げに使う漆喰は下塗りと上塗りと分けて施工です。

面積が大きい事と、下地が乾いている事で漆喰の乾きが速いため一気呵成に塗っていきます。

前回の下塗りでは職人さん1人でしたが仕上げ塗では2人です。

塗りあがったらあとはひたすら鏝による押さえ。

押さえが進むほど光の反射が変わっていきます。

乾く前の反射がなかなか綺麗です。

仕上げ塗とりかかりから半日ちょっと。。。

無事塗りあがりました。

今回の仕上げ塗、ベテランさんと経験10年の若い職人さんとで施工をしてもらいましたが、若い方は土蔵の壁補修は初めての経験と言っていました。

昔ならあちこちで見かけた土蔵。

調湿効果が高く、火災に強い。日本の気候に適応した素晴らしい建築なのですが、、、

可能な限り残していけるとうれしい限りです。